>>40
えへへー! おかーさまよろこんでくれるかなー!?
そのまま? うん、ぼくはぼくのままだよー!
[陽気な兄の言葉にあるのか定かではない首を傾げつつ、影は機嫌よく答えた。
いつか今とは違う自分になっている……そんな"可能性"を、影は想像する由もなかった。]
[陽気な兄は笑い、彼の手が影の頭に伸びる。彼の皮膚に清涼な闇が触れる。
『影の一族』は体温がない。そして、『個』を形作ると、闇に潜んでいた体積が実体化する。
そう、『影の一族』を殺すには、実体化している時を狙うしかないのだ。]
アマルーラの手は、あったかいね!
えへへへー!
[他種族にある感情を司る筋肉が無い影の表情は、見る者が見れば化け物でしかない。
しかし、影は確かに兄の温もりを心地よく感じていた。]