>>71
[反応が薄い兄を見て影はあるのか定かではない首を傾げた。]
シードル……? アリア? アリアー!
[陽気な兄の真似をして、親愛なる兄の名を呼ぶ。
影は、この監獄にいる全ての兄弟が大好きだった。
何故なら、いつの間にか生まれていた影を、認識してくれたから。
存在することを、認めてくれたから。
だから、兄弟が呼ばれたい呼称があれば、それに従う。
影は、【お母様】に愛された兄弟達が、大好きだった]
ねぇねぇシードル…ううん、アリアって呼んでいいー?
アリアはなんで、お部屋で紙に沢山色々書いてるのー?
猫ってなぁに?
かわいいの? おいしいの?
[影に睡眠は不要だった。闇の中で活動することが、一族のあるべき姿。眠れぬ夜を彷徨う影は、暗闇の中兄弟の部屋を覗いて、愛すべき兄弟の営みを知ることが日課だった。
影は、プライバシーという、銀河の常識をまだ知らない。]