《魂魄》 一度来ただけのバス停から 地図に無い場所へ向かう 案外簡単に到着する 呆けている様に見えた隣の老人は よどみなく運賃を払い 脇目も振らず歩み去った 記憶を失っても 足が自分の家を 覚えている事があるという 目は路線図を 手は精算機の操作を 肌は暑さ寒さを ゾンビと言う奴が実在したら そいつもバスで家へ 帰って行くような気がする