月狼国

36 【誰歓】詩人狼村2nd【ガチ】


女書生 藤枝

《かえりたい》
春の海はほの白く、どこか乳臭い
波飛沫の中には無数の生き物の卵が跳ねて
命は濁りと呼ばれます

夏の海は戦場、打ち上がればすぐに腐り
船板の下は闇 敗者は人も魚も等しく
締まった体を食卓に打ち上がるのみ

秋の海は澄み、濁りと命は脂と化して消えていく
群れ同士が派手に捕り物劇を演じ
やわらかな肉は他の誰かを太らせます

冬の海はどこまでも静謐、清浄
新たな命を秘めながら、
気紛れに顎を開き、冥府の闇へといざなう

海の中に母がいると言った詩人は誰だったか
母の中に海があると言った詩人の名は何だったか
闇の果てには、懐かしい面影があるのだろう

(189) 2018/04/29(Sun) 21:03:05

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