《春》
あーあ、風が強くてあっという間に葉になってしまいんした。それでも出会いも人とこれとのあれやこれ、覚えるまでの猶予期間、雨が降るまでのモラトリウム。不安定と陽気は紙一重、そういや今日の空だって自由に暴れまわっていたわ、てるてるだって万能じゃねぇんだ、分かれよ。別れよ、というにはまだ早くて、きまづい空気を断ち斬りたくて桜の葉っぱ口に詰め込んでやった。あたしの頬も鼠みたいに膨らんで、冬眠から起きたばかりなのをもう忘れたのかって働き蟻になじられる。
今年こそ変わるわ、って3ページで止まったノートは6日後まで更新されるようになった。毎日が目まぐるしいから、おとついのことだって鮮明で、調子に乗って明日のことまで書いてしまう。
やわくて苦い、春
浮かれたこの空気を飲み込んで吐かずにいる
あまりにも惜しくて