[街を彩るかぼちゃのランタン達と同じ、だけど少し小さいランタンを入口で受け取る。
闇に彩られた暖色は街を包み、行き交う人々は笑みを浮かべ。
光景に合わせ、そっと口角を上げてみる。
深淵を覗き込んだ。
深淵はようこそと引き擦り込んだ。
コバルトブルーの海。巨大な月が照らす空。
懸命に生きる人々。知らなかった様々な色が広がる世界。
世界は美しい。
だからこそ、足元は深淵へ沈んでいく。
いつぞやの街でふと、手に取った本に挟まれていた封筒。
どこの誰だか知らないけれど、望むなら叶えてあげよう。
求められることに縋りつき、そして思い浮かべる。
世界で最も大切な、そう―――。]
……君は、ここにいるのかな?