…ホイストン・H・ジョーリンは「人狼の言葉が分かる狂人」だった。
貴族の出だった彼がいつ、どうやってその能力を得たのかは残っていないが、彼は催し物と称してこの屋敷に人を呼んでは若い人狼に狩をさせていた。
そして自身の命が尽きる前に、その役目を信頼できる貴族の若者に譲ったという。
そうして、能力は継承されないままに、ジョーリンの継承はひっそりと行われていった。
到着間際に話したのは先代の姿だったか。
俺に書物という知識を与え、人狼の素晴らしさを解き、催し物を開催する意義を教えてくれた先代は、数か月前俺に役割を与えて息を引き取った。
準備を整え、あとは客を集めるのみというところまできての、この役割を。
だから俺は先代の為に、このゲームを開催しよう。