──ねぇ、陽。
ぼく、生きててよかったって、思えたんだ。
ずっと赦せないでいた。君を犠牲にして、生き残ってしまったこと。
ずっと判らないままだった。ぼくが生かされた意味を。
君の方が出来が良かったんだ。否定しないでよ、双子ってそういうもの。
生き残る確率は、君の方が高かったんだろう。
遠くでそう、言ってた気がするから。間に合わないとも。
君は、諦めなかった。ぼくを、諦めなかった。
どうしての答えは、結局分からず終いだけど。
答えが見つかるまで、もう少し生きてみるよ。
…もう、ひとりじゃ、ないから。
だから、今まで、ありがとう。
ぼくを助けてくれて、ありがとう、───兄さん。