― 星屑の庭 ―
[咄嗟に思考を過ぎったのは、あの時、
最後までラヂオに耳を傾ければ良かったということ。
それに、己の眦に昨夜の名残がないかと言う見栄。
それらを一拍の刹那の中に詰め込んで、
気づいたときには脚が勝手に芝を踏んでいた。>>+24]
何が、政界の獅子だ、新星の貴公子だ!
ああ、あの時、気が付けば良かった!
そうだ、君しか居ないじゃないか。
君の顔は歩く名刺だと云うのに、私も焼きが回った!
[大きく開いた腕に殆ど空になった点滴が倒れ、
腕から無造作に針が抜けて、チューブが舞った。
医者がこの場に居たなら青褪めかねないが、
今はそれよりも、この腕に成して貰わねばならぬ責務があった。]