─ 保健室 ─
[中に入ると先生は不在らしく、彼が椅子を持ってきてくれて>>+110おずおずと腰かける。
よく考えると、いやよく考えなくても、初対面の相手に泣き顔をさらすなんて恥ずかしい。みっともない。
ぐしぐしと涙を拭って傍らに立つ彼に謝ろうとしたところで]
………え、っと……
[親切に事情を聞いてくれる優しさに申し訳なくなる。
まさか、夢…?白昼夢?を見て悲しくなりました、なんて。言えない。
…言えない、けど]
………………。
[ちらりと見上げる。
同じ学年という事だけは知っているけれど、名前もクラスも知らない彼。
(杏に双子の兄がいるとは知っていても、まさか彼がそうだとは思いもよらず)
………この人なら、話してみてもいいだろうか。]