《独り》
君とあるってた道は遥か遠く
流れ流れて冬の海まで来ました
こちら側はこの時期よく荒れていると聞きますが
本当にまったくその通りで
見上げた空は雪雲が重たくのしかかり
目の前の波は激しく打ち付けて飛沫を上げています
僕は砂浜の上で独り体育座りをして
強い北風に髪を煽られては
ずっとずっと君のことを考えていました
この灰の濃淡だけで出来ている世界に
いつ溶け込んでしまうとも知れないまんま
一際目立つ漆黒の烏が一羽
堤防向こうの家の辺りからやってきて
随分と古びたコーラの空き缶を
弄んでいるのが見えました
僕はそして嬉しい気持ちをようやく思い出したようです