…気付けば自分のいない間に、
人々が盛り上がっていたようだね。
古今東西の甘味、香り高い飲み物。それらを互いにご馳走し合っては、仲良く談笑している。
…うん、微笑ましい光景だ。このささいな日常の喜びは、この先一年、十年と続いていくんだね。
やぁみんな。お兄さんも混ぜてよ。そんな顔しないでさ、人狼なんて御伽話、現実にはないから。安心して?
『__胸の躍るような興奮も刺激もなければ、身を削るような不安も焦燥もない。
__僕らの生きる世界はそんな、些細でつまらない、でもとても貴重なモノなんだ。』
そ う 思 っ て い た 。 筈 な の に 。
一夜開け、見たあの夢を嫌でも思い出す。
__夢枕に立つ謎の影。
『貴様はヒトの正体を暴く加護を授かった』と、そいつは笑いながら言ったんだ。