― 煉瓦広場:ランプ屋『彗星工房』 ―[数え切れぬほど銀河に散らばる満天の星の下、放射線状に敷かれた赤煉瓦に夜気が落ちる。煉瓦広場と呼ばれる区画の端に構えられた工房にも、夜明けを忘れた独特の冷気が忍び寄り、作業台に向かう職人の足を小刻みに揺すらせる。工房の軒先に下るのは大小のランタン。空から降り注ぐ星は燭台に据えられて、夜を生きる人々の光源とするのが一般的だが、この工房ではより携帯性に特化した洋灯を製作していた。]