[病弱な正妻の息子の地位を脅かさぬよう。後ろ盾を得て、家督争いの元とならぬよう。遠く都を離れ、一人この別荘で暮らすことを余儀なくされていたのだ。都へと招かれたのは、正妻の息子が亡くなってから。この街を訪れたのは、それ以来となる――。] ……少し、ぶらついてくるか。[この街へと戻ってきたのは、日々の疲れもあるが、ここでの暮らしにどこか懐かしさを覚えてのこと。別荘から再び星明かりの下へと出れば、馬に跨がり街の方へと馬首を向けた。**]