[更に強くなった頭上からの人工雨。大量の水飛沫が舞台を覆い、舞台から観客席へとミニ滝ができる。下には水を外に流すための水路がいつの間にか設置されていた。滝と川を作り、大脱出の様相を呈してきた舞台上に注目が集まる。脇に避けていたヒゲダンサーsはいつしか姿を消していた。徐々に弱まる水飛沫から、ひとつの人影が現れる。濡れた髪を掻きあげて柊は笑う。] ……安心してください。[カツン、とヒールが舞台上で鳴った。]