― ある日の星屑の庭 ―
―――…この色とこの色、どちらが花色に近いと君は思う?
[カラーフィルムをリングで繋いだ色見本を捲り、
星屑の庭で語りかける相手は、虚ろを食む赤毛の彼女だ。
手にした色は、些細な違いはあれど、全て赤の眷属。]
あの色は覚えているはずなんだが、
私の目は大分此方の明るさに慣れてしまった。
夜の余韻が強い君なら、どれが映えるか分かると思うんだが。
[未だ彼女は車椅子だったろうか。
傍らに腰を落ち着け、茶を啜る。
ハロルドには、そろそろ茶飲みに来るだけなら、
帰れと云われそうだが、そんな非難を気にする男でなかった。]