―― 或る日の思い出:続・薬屋のねぇね ――
くすり!ほし!わたし、あぅ…!
[パン屋から出てきた、眼鏡の男の人に近寄る。
けれど此方に気付いた男性の耳は、明らかにわたしのそれと違っていて。]
ひゃっ…うさぎ!
[驚いてその場からは逃げ出した。
今思えばそれがあの農家の優しいチェスワフとの最初の出会いだったかもしれない。
そうして、なんとか親切な老人に案内してもらい、薬屋である彼女の家にたどり着けば。
老人にぺこりと深くお辞儀をして、それから扉をトントンとノックした。
やがて開かれた隙間から、薬草やハーブの良い香りがしたのを覚えてる。]