―――…ぅん、やはり、派手さでは還り灯に敵わないな。 でも、私の腕も捨てたものではないじゃないか。[片手で庇を作って、夜に灯る朱色に眼を撓める。赤い月下美人を模した街灯は、行儀よく並んで、ストリートを照らし、星明かりを呼ぶ。] 今度は私が世界に灯そう。 ……これが私に出来る、たった一つの“送り灯”だ。[笑んで呟いた男は、悔いも未練も噛み締めて、空を仰ぐ。きらりと、一閃、蒼い星が流れた気がした。**]