「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
という大きな歓声と拍手があたりから巻き起こった。
ゲストに呼んだとはいえ、「宿敵」怪盗ブラック。彼に対して刃を向けた加納に、
ブラックは席を立つと、紳士のように一礼をする。
彼女が舞台から立ち去るのをゲスト席から見送った。
その後、署員が清竜刀を撤去しにやってきたとき。ブラックは結わえてある白椿だけをとり。代わりに彼が好んで使っていたアンティークの小さな懐中時計を添えて返している。オーダーメイドのそれは、職人が意匠をこらしたもので、世界にふたつとない。
彼女がそれをどうしたかはわからないが、加納という名とその姿はその時にブラックの中に白椿と青竜刀とともに「美しい剣の使い手」として記憶されている。