[大切な同僚の死の前の状況を思い出す。
ひどい喘鳴を起こしていたニケ。
血を吐いた――おそらくは吐血ではなく喀血ではないか――セト。
呼吸器系に疾患があったのだろうと予測している。
そういった症状の出る病自体は知っている。
亡くなる前にニケが視力を失った事も、それ自体は珍しい症例じゃない。
ただ、どうにも早すぎる。
メリッサなど意識が混濁してから亡くなるまで、ほんの僅かな時間だったはず。
潜伏ウィルスが活動を始め宿主の身体を食い破るまでの時間が、あまりにも短すぎる。……早すぎる。
どんな薬を作れば、このウィルスに対抗できるというのだろう。
どんな治療をすれば――――……]