《悪い夜》
「もっと光を」を末期の言葉にしたゲーテは
電気代を払えていなかった、という説がある
「光あるうちに光のなかを進め」
フォート・ナイトリーに掲載されたあと
トルストイは検閲でたましいの奈辺を削られたのだろう
夜と議論は熱を帯び
先手先手にさじを持って
煮えたぎったデッド・パンの端をつつきながら
わたしたちはゆるやかに沈んでいく
意味は意味をときおり超えてしまうから
墓下アイドルがはかどる、そんな青い世界もいい
最後にふりかえったとき
その光の角度でなにか勘違いしそうになる
もしかして、そんな光景に
恋をしてしまうのかもしれない