―― 廊下――
[ 睡眠不足の顔のまま、厨房へと歩いていく。
もとから不眠気味ではあったけれど。
もし夢の中で、元気なままのニケとセトに出会えたらなら。
もし目覚めた時、誰かの姿が欠けていたなら。
そう考えてしまうようになってからは。
より一層、眠ることは難しくなった。
形だけでもベッドに入り、横になる。
そして結局は眠れずに、厨房で食事を作る。
他の誰かがいるときがあれば、成果を聞きながら共に作ることもあっただろうか。
この2週間で染み付いた習慣は、崩れることなく今日も繰り返していて。
崩れない今日を、また繰り返す。
そんな淡い夢を砕いたのは、ヘクターの声>>72]
(アンネが……倒れた!?)
[ 忘れたくても忘れられない悪夢が脳裏に蘇り、通信機を握り。]