― 早朝の彗星工房 ― アーサー、蜘蛛くらい自分でなんとかしたまえよ。 私達より六本脚が多いだけの小さい隣人じゃないか、 そんな、大声出して私を呼ばなくても―――…、[ぼさぼさの頭を掻きながら、眠気眼で戸口を開く。星の性質には疎い芸術家肌は、寝惚けた声を搾り出し、欠伸を噛み殺して古い友人を出迎えるも、そこには蜘蛛から逃げてきたと断じた親友と、もう一人。幼馴染と呼ぶには遠いけれど、青ざめた顔をした彼女に、重い瞼を緩慢に起こし、少しばかり驚いて見せた。>>68]