そうそう、それでね。カッサンドラ。 これは完全に私の小心なせる業なのだけれど、 もし良かったら、君には今後、薬箱を持ち歩いて欲しいな。 いや、誰かが怪我をするだとか、患うだとか、 そんな恐ろしい妄想を抱いている訳じゃない。 ―――…ただ、少しね。 良いことが起こりそうな気はしないんだ。[彼女を不安に招かぬため、過剰に言葉を添えたが、薬学の徒たる彼女に、改めて用意を勧める時点で相当だ。窓の外では、細かく砕かれた星時雨が、街を照らすよう、酷く明るく降り注いでいた。*]