[ぴ、ぴ、と腕の小型端末を操作し、アラームを設定した。]
(眠れなくてもいいから、少しだけでも横になれ。)
[愚図るセラを完全無視して、ブランケットをばさりとかけた。
ヘクターはベッドにのりあげて、その固まりを背もたれにしてよりかかる。]
(嫌わないよ。
興味がわかなきゃ好きにも嫌いにもなれない。)
[プライベートなど無いものとして生きていくには、他人へ興味を持たないようにコントロールする必要があった。
ハールーンのような友に巡り会えたことは奇跡だったのだ――ゆえに]
(……俺は、セトに、友だちになろうとすら、言えなかった。)
[時間は有限で、正しい選択がいつもできるとは限らない。
後悔は重く、今もなお心を締め付けている。
もっと早くから、彼の内面に踏み込みたいと決意できたら――]