――森の奥:錬金術師の小屋――
[日の昇る場所であれば、空も白みかけてきただろう頃。
星空の一角を失い、むしろ暗さを増した中、
のろのろと這うように自宅へ向かった。
こんなに「暗く」なったというのに、
目をまともに開けば焼けてしまいそうで。
名を呼ばれたことには、初め気付かずに。>>72
駆け寄る足音が間近に迫って、やっと顔を上げた。]
……あ、
ネーロ? どうしたの、こんな時間に……
[『夜更かし』して悪い子ね、と、茶化すような調子で。
いつものように言ったつもりが、何だか随分弱々しい。
これでは大丈夫だと言ったところで、説得力もないだろう。]