メイド服はロングスカートだった。白いエプロンをおしあげる、円錐の形につんとふくんだ、ふくよかな胸。
きゅっとしばった腰。バサッとスカートのすそをひるがえし、サービスワゴンを押しながら。ワゴンの上にはあつあつのおでん鍋がのっていた。
仮面はしていないが、化粧は濃い。意図的に濃くしてあるのだ。女性らしく美しく見せるより、男性が女装をした美しさを引き立たせるように。
美女ではある。美女ではあるが、男の美女だ。胸元にマイクをつけている。
ブラッ子は、片手でワゴンをおし、肩でリズムをとりつつ、ノリノリで歌いだした。