[カウンター越しの柔らかな顔は>>141、
大人びた風貌に10の子供の笑顔を「張り付けた」ものではなく、
歳相応に、喜びを見せてくれる。
あちらでは見たことがなかった、"僕"が知らなかった顔。
それなら。彼女だってやっぱり「患って」いるのか。
割に何度か訪れた庭では、見たことがなくて――最も、自分が通う時間が夜が主という事もあるが――、だとしたらあの、闇に「踏み出した」時。
鏡が教えてくれた意味を、知りたいと思うのは、
不自然なことではないはずだ。
ただ、でも。自分を、自分の名前を知っておきながら。
捲る項に移る砂時計の見本表を眺める彼女は。>>142
どうも自分のほうが、彼女に"知らない人"が過って。
愛想も程々に。ただの客として。求めたものへの返答を待つ。]