《しいなの花》『生まれてほしい』と大きなくちで貪欲な青空が覆いかぶさる『わかったよ』そう言ってひっそりこの胸に咲かせてきた花たちでもねどれも花弁だけの似物で「続かない」後ろには広大な花畑ができあがるだけ青空は続ける。斜陽の園の終わらない香り誰か、ください。ほんとうの花きみに出会った。ものすごい数の言葉(たね)がものすごい勢いで、胸に棲みつくそうして渡すひとつは実を結ぶだろうか?──ああ、そうか、ほんとうに咲く、のは。顔を上げれば突き抜ける青にきみがほころぶ