[>>157 セラの意識はアンネの方へと向かったようで、そのことに胸を撫で下ろす。
今も頭の中で何かが崩れ落ちていくような感覚はあるが、セラの瞳に活力が戻ったことの方が喜ばしい。
本当は今も、どんな言い方をすれば正しかったのかが分からない。
ヘクターには、分からないことだらだけだ。
>>162 セラの微笑みを見れば、痛みが吹き飛んだ。
それは、彼女に「3秒嫌う」と宣言したときにも笑われたことを思い出しながら苦笑した。]
……言葉がまずくて、悪かったな。
[治療法など期待してないと、セラを医者と思わないと、さんざんに否定を重ねた。
その刃を心に喰らった彼女は、どれだけ辛かったことだろうか。
だが、結果として彼女が笑えたのなら、ヘクターは後悔しない。]