[残息奄々の状態でありながら>>186アンネはそれでも笑う。
たった一つ。わたしは彼女と約束を交わした。
彼女の選んだ茶葉で、彼女に淹れてもらったお茶でお茶会を。
その時は他の人たちも一緒に。ええ、勿論。
唯、その前に。
風前の灯のようなアンネの前>>187で
意図せずに涙を落としてしまったことが悔いだった。
笑顔の鎧を作って生きてきたわたしは、
鍍金が剥がれてしまえば感情を制御するのが滅法弱かった。
幾ら自分の心を騙そうと、欺こうと
心の裡の奥の奥までは誤魔化しきれなくて。
アンネの飴色の瞳に虚色が混ざりつつあるのを見れば
直視していられず、そっと視線を扉の方にでも向けただろう。
それでも口は止めずにいて、
ドロシーは意外と力持ちだなんて話していたっけ。]