[>>190 ストレッチャーを、という言い訳のお粗末さに気づかずにいてくれたことには、思わず心の中でサージャリムへ感謝の言葉を述べた。もう少しだけ、もう少しだけ——]すぐに、行く。[後ろ手に腕の小型端末を操作して、セラが部屋を出たと見てから、ドアの締まるタイミングをいつもよりも早いものにした。ドアが締まる刹那にセラが振り向いたが、彼女にはきっと、目を細めてゆるく笑むヘクターが見えたことだろう。]