《負け犬でも愛をうたう》 >>66痛みはありませんでした。一瞬の苦痛すらなく、それは私の心臓を奪ったのです。痛みはありませんでした。全身を巡る血液が、沸点を超えて泡を立てる程の興奮。痛みはありませんでした。上手くいけば舞い上がり、上を行かれれば悔しさに眠れなくとも。痛くは、ありませんでした。ただ楽しくて、生涯追い掛けていたのです。目も眩むような、鮮やかな夢の事を。