《もう一つの特別展》
京成上野を出たのは正午過ぎ,大層な冠名に持つ公園に向かう道すがら,一つ腹ごしらえとカフェのウィンドウ覗く
日に焼けたカレーライス、ナポリタンにはご丁寧にもフォーク,最下段にはコーヒー紅茶に紅一点チェリーを飾ったプリンに茄子と帆立貝
茄子には如何にもプラスチックですが何か?とアピィルするかの艶があり,いっぽう帆立は貝柱を食したあと,何かに使えるかもと置いてそのまま?
否,忘れられてないのは位置関係から自明,袷の貝の間に在る茄子つまり挟まれてるんです
食べたのは今日のお勧めチキンソテーとコンソメスープ,茄子も帆立も影もない。奥歯にパセリが挟まった気持ちのままで石張の棟を巡り,お目当てとガラス越しに対面を果たして冷やかし寄った売店で気づく
そうかLa Nascita di Venereか
120円で絵葉書を求め,シェフに渡せばビールのひとつも付くかとニヤニヤしながら来た道戻れば店のドアには「準備中」埃の溜まった陳列棚から帆立も茄子も,チェリーもまとめて消えている
ボッティ「チェリー」は無理があるだろ,全部撤収やむを得まい