[メアリーの頭を撫でつつ、
思い出すのは医務室への去り際のこと
そして、すれ違ったシュテンのこと。
アンネが目を伏せたこと、きっと己がセラへ向けた言葉に憤りを持ったのだろう。
――優しい子だ。
だから、是で良かったとも思う。
此れからの事を考えれば、医療者は重要な意味を持つだろう。
精神的支柱になると言っていい。
故郷を失い精神の均衡を不安定にさせるものはきっと出てくると、思う。
今は大丈夫でも、実感すればじわりと。
その時一番頼りになるのは医療者で。
今、その支柱が揺らぐのを見せれば、その人に相談はしにくくなる。
だからこその一喝であった。
――結果、己が嫌われるも致し方ない。
セラの気持ちを無視したといっても過言ではないし。
その覚悟はできていた。]