[かなり時間は無駄にした気がする。
甲斐性なしめ。頭の中の自分が罵った。]
ふー。勘が鈍ったかな…。
[街の通りのベンチに腰掛けて、息をつく。
耳が項垂れる。昔は宝探しといえば、
「3人の中」じゃ、よく1番になったものだけれど。
畑以外の勘がさっぱり使い物にならなくなっている。
もしかして鼻も鈍ったか、なんて思って。
スン、と周囲を嗅ぐが、星に匂いがあるわけでもなく。
漂ってきたのは、自分で抱えた紙袋から漂う、それ。]
……1個くらいは、いいですよね。
[起きてから食事をしていなかったしと。
一つの野菜パンを取り出して、かじる。
しゃきしゃきのキュウリと甘いキャベツの味が体を癒し、
大人げなく喜んで食べる姿は、道を通る人には紙袋のパン屋のロゴが目に入ってさぞかしいい宣材になったろう*]