― 薬屋の日常 ―
[ゴリゴリと薬草を擂る音が響き渡る。育てていた薬草が、ようやく使える段になって。
青と赤の不思議なグラデーションのかかった葉を刻み、擂り潰してから乾煎りする。
湖に生息する蛙の粘液と星の形をした木の実を合わせてペースト状にすると、紫色の軟膏が出来上がった。
趣味の悪い色をしているが、塗って伸ばしてしまえばわからない。よく効く傷薬の完成だ。]
軟膏ならあまり沁みないのよね。
[怪我をしてほしい人物など、この街にいるはずもない。
それでも自分を少しでも頼ってきてくれる人がいて、それに応じる事ができるこの職業が、大好きだった。]