― 街中 ―
ん? ッ、!もっ、もふふぁへ。
―――…、お疲れ様です!
[人目構わずパンを食べ、よく知る人以外に声をかけられると思わず、呼びかけられた声に顔をあげれば、
見えた姿は昨日通りすがりに見かけた自警団。>>306
なぜだか、やけに厳然たる形相を誂えていらっしゃった。
つい行動より口が先に出て、もごもごと物の入ったそれを動かす。
当然、まともな言葉が喋れないと後に理解して、あわてて咀嚼し、
再度、敬意を込めながらの挨拶を一つ。
その後の問いかけは、巡回としてのものにも聞こえたが、
現状を考えないお気楽極めていた自分に後ろめたさがあって無意識で緊張を走らせていた。
その影響か、会話している最中は常々大きな耳は、
彼女の眼の前でふるふると小刻みに震えるのが見えたかもしれない。]