[夢を見ている。]『アンタ知らないの?サンタってのはねえ──』『じゃあ、もっといい子に──』『”いい子”なら──』[ひどくぼやけた映像だ。これじゃあ何も分かりやしない。]……っ。ゆめ。[重たいブランケットを押しのけて、暑苦しい布団から逃げ出して、目が覚めたのは床の上。震えるからだに気付かないふりをして、お腹の辺りを抓った。]……”不思議な世界、素敵な世界”。[ちょっとしたおまじない。これで長いばかりの夜も寂しくない。だって、その世界には光が溢れているはずなのだ。]