《皿の上で》
「ワレワレハチョウシュウジンダ」
「ワレワレハゲイシュウジンダ」
「ワレワレハドシュウジンダ」
「べらんめえ!ナニ中だかタコチューだか知らねえやい!てめえら田舎もんがこのお江戸を好き勝手に食い荒らせると思うなよ」
…と勝海舟が啖呵を切った
かどうかは別として
惑星江戸は西の星から来た宇宙人に明け渡され
瞬く間に新しい星トウキョウ星になった。
プッチンプリンの爪を折ったのは
更に外の星系から来た4隻の宇宙船だった
ニッポンジンという言葉を
まだ誰も知らなかった頃の話
それから150年
東京星に都をおく日本星系に住む私達はプッチンプリンの容器にこびりついた江戸時代の名残と近代と言う皿の上で平たくたびれた現在の間を漂う残り香になって漂っている。
プリンが菓子を意味するのは日本だけである。