月狼国

299 [誰歓]詩人狼村11th[ガチ]


慰問 アキヒト

《春の泥棒》

その朝は、いつもとどこか違ってた。

幸せな夢から覚めた時、
ベッドの中でそれを悟った。

暖かな日差し、少し強い風。
春が来た、春が来た。
春が来たのだと、風の匂いが告げていた。

その朝は、いつもとどこか違ってた。

老いた貴方の優しい声が、
階下から響いてこない朝。

嗚呼、さよならが来たのだと。
頰を滑る涙が、ツンと痛む鼻が告げていた。

(761) 2021/03/03(Wed) 11:53:28

(0.069 CPUs)
SWBBS V2.00 Beta 8 あず/asbntby
当サイトは日本国内専用です。
海外からの操作・閲覧は保証しかねます。
管理人 by yukari
雑用 by apricot/garnet