《夏の残影》空に登りきった働き者の太陽が、じりじりとアスファルトを焦がしている。こんな日はいつも、アイスクリームを買いに行く。家の前の坂をのんびり下って。貴方はバニラで私はチョコで、冷たくとろけるアイスクリーム。足元に落ちた真っ黒な影が、自転車を漕ぐ度寂しく揺れる。カゴにはチョコのアイスクリーム。私はもう歩かない。のんびり歩幅を合わせたい、そんな貴方はもういない。