月狼国

299 [誰歓]詩人狼村11th[ガチ]


慰問 アキヒト

《秋の郷愁》

まるで異世界みたいだと、
見慣れた庭を見て呟いた。

真っ赤に燃える楓のことも、
甘い香りの金木犀も。

大好きだった筈なのに。
大切だった筈なのに。

貴方がいない、それだけで。
まるで知らない家のよう。

――こちらが最後の荷物です。

荷運び人の言葉に頷き、
最後に雨戸をきちんと閉めた。

私は今日、この見知らぬ故郷を置いて行く。

(765) 2021/03/03(Wed) 12:31:20

(0.069 CPUs)
SWBBS V2.00 Beta 8 あず/asbntby
当サイトは日本国内専用です。
海外からの操作・閲覧は保証しかねます。
管理人 by yukari
雑用 by apricot/garnet