この独創的な世界観が具体的な描写によって最終的に話者の心理に読者が共感できる所まで迫って来る。
これがフジノ君の作品の魅力だと思う。
その点で>>5:108《老害》は説明的過ぎる。
まずタイトルが内容を一言で表してしまっている。
これは詩の構造としてはあまり良くない。
出オチでネタバレするようなものだ。
新しい機械の導入によってそれまで培ったスキルが全く意味をなさなくなる、この苦労は現代人なら番人が共感する所だが、裏返すと「ありがち」でもある。
最初から共感できる題材であるがゆえにフジノ君一流の描写力が生きない。
かなり細かい動作を、目に見えるように描いてはいるが、恐らく読者がイメージするのは何かの映画や漫画などで既に見たことのあるお馴染みの情景であり、この詩によって初めて目にする独自の世界じゃない。
この点は>>866にも同じ事が言えるね。
ありきたりなテーマ、題材、小道具は表面的な言葉を並べただけで読者の中に絵が浮かぶ。
ただしそれはその詩の力で描いた絵ではなく先行する何らかの著作のイメージにタダ乗りしたものになる。
そのタダ乗り部分のイメージが作者の描写力や独創性を殺してしまう。