《新居》
引っ越し蕎麦は昭和の遺物
令和の手土産は一にお菓子、二に洗剤と聞いてとりあえず両方用意したらトラックがもう一台必要になった
最低限の荷解きを済ませたらタブレットで表計算ソフトを開いて全フロアの部屋番号一覧を作成した
挨拶を済ませたお宅のマスを色で埋めながら
備考欄を適宜加筆修正する
>>271号室でジンジャークッキーを
>>297号室でタルトタタンを
>>15号室でにぼしを貰った
>>366号室でやたら勧められたお茶はどう考えても焼酎だった
>>4号室の女性はビビンバは嫌いと言いながらずっと食っていて
>>10号室からは湯気だけが漂っていた
>>881号室は新婚と聞いて早めに辞した
>>114号室と>>164号室も夫婦と聞いていたが応対はひとりだった
自室に戻ると妻が369と書いた付箋付きの菓子折りを手にこれミロクさん?369号室?分からなくて戻って来たと言うので仕方なく>>369号室のミロクさんを二人でもう一度訪ねた