《青い森の板絵士》ー炭を擦る畳を覆いつくす半紙 木炭で書き殴られた仏子視線の先に手指を伸ばし なめらかな版木(いた)に丁寧に写しー墨を磨る硯の陸(おか)に雫を落とし 僅かな触れでただただ滑らし繰り返し海から器へ垂らし 版木(いた)に足る分の量を満たしー隅を刷る刷り込み刷毛を墨に浸し 彫られた版木(いた)に黒を写しそこに乗せるは湿した和紙 端の端までバレンをひと押しー寿命(すみ)を為(す)る並び集う壁を背に立つ仏子 黒の狭間に舞う極彩色(ごくさいしき)わだば日本のゴッホを目指し 頬を擦り付けすみすりすみする