《愛別離苦》
下手糞な課金システムに弑虐された我等が王を煮えくりカエルが艶やかに嗤うので僕は目眩がした。お膳に立てた割り箸が気に食わない君は鳩尾に拳を奮う。息が出来ない。分解されるポリゴン。宇宙にはこうやって飛ぶんだって姉さんが教えてくれたんだ。麻酔と違って目覚めには吐き気を伴った。技師に僕は感謝をすべきだった。昨日ぶつけた小指の血豆が潰されたがって五月蝿かった。
人生を変えるのは簡単なことだった。
紙切れ一枚があれば良かった。
準備は万端だった。
君さえ、
横隔膜が元に戻るよりも先に熱が引いた青痣の凸凹を撫でる指先は震えているから何も掴んだりはしない。僕が丸ごとを忘れてしまうよりも先に逃げ切ったつもりで君はいたのだろうかと考える。応えは当然に返らない。溜め込んだジェムを端数も残らないように吐き出してから僕はバッテンを押す。それだけのことだった。
春になった。