歩く。歩く。ぼくに追い付くためだった。追いつけないぼくを、誤魔化すためだった。ぼくは、もう背中すら見えないほど遠くへ行ってしまって、ぼくを理解することも、ぼくを制御することも、もう不可能になってしまった。ぼくは、いるべきじゃない。だけど、"ぼく"なら。まだ背中の見える"ぼく"なら、いてもいいかもしれないから。ぼくは、アリスになる。