― Harvest Time:さらにそのごのおはなし ―
[一番上の"姉さん"が、
白い部屋で僕に林檎を食べさせてくれた。
じんわりと甘い、みずみずしい果汁は口の中を広がって、
まだ、全員の顔を覚えられなかったから、お礼と一緒に、
覚えるために、少し、顔を見ようって。
その顔、髪の色は自分と似ていたけれど。
面影が、どこかで、あって。
欠落していたかもしれない。でも。その林檎の味が、舌に触れて。
確か、『最後のあの収穫の時』にも、お手伝いに来てくれてた。
そうだ、思い出した。青果店の―――
名前を、呼んだときの、"姉さん"のよくわからない顔。
僕もまた、否定をされて、同じような顔をした。姉弟で、にたものどうし。]