そんな人達のいるこの村が、好きで好きでたまらなくなった。
だが、時間は刻一刻と迫り、終わりを告げようとしている。
こんなにも別れが辛くなるとは思わなかった。
あいつも、テレサも…意地悪だな。いや、あいつのせいではない。
けど…、『ワイズのそばにいてあげて』という依頼、今になって引き受けなきゃ良かったとちょっぴり後悔してんだぞ。
気が付けば、頬のあたりが濡れていた。
雨かと思ったが、違う。…泣いていたのか。
自分が泣いていることに気が付かないなんて、そんなこともあるもんなんだな。
そう思いながら呆然と立ち尽くしていると、ワイズが寄ってきた。
「兄さん…泣いてるの?」
そう言ってハンカチを差し出してくる。…本当に、優しい子だ。
お前がいい子に育ってくれて、俺は、本当に、嬉しかったよ…。(続く)
#駄文